トヨタの新テストコース建設めぐり議論

このエントリーをはてなブックマークに追加

テストコースの建設が予定される愛知県豊田市と岡崎市にまたがる里山

トヨタ自動車が愛知県豊田市と岡崎市にまたがる里山に建設するテストコースを含む新研究開発施設について、森林や動植物の専門家に意見を聴く環境監視委員会が10月26日、名古屋市内で開かれた。

施設は両市の里山約650㌶のうち約270㌶を造成し、新車のテストコースや研究開発棟、環境学習施設などを造る計画。愛知県企業庁が買収と造成を担当し、今年度からすでに準備工事に着手しており、2018年ごろに一部供用開始、25年までの完成を目指す。

周辺では絶滅危惧種のサギの仲間、ミゾゴイなどの生息が確認されていることから、環境への影響が懸念されている。一部では地主を巻き込んだ反対運動も起きていたが、愛知県内でもこの問題は詳しく知られていないのが実情だ。

委員会はトヨタと県が合同で設置し、今年3月の初開催に続いて2回目。委員長の成瀬治興・愛知工業大名誉教授をはじめ森林や野鳥の専門家ら9人とトヨタ、県の関係者ら約50人が出席し、環境調査の手法や森林、里山の整備目標などについて話し合った。

森林や動植物の専門家に意見を聴く環境監視委員会

対象地はかつて薪炭林として伐採や造林が繰り返された後、現在は人の手が入らず荒廃が進む里山。トヨタ側は施設建設と並行して、残された自然環境で適切な間伐や植林、休耕田の管理などを行うとして10パターンの整備目標と具体的な区分けを示した。

委員からは「単に工事前の状態を維持するのか、地域全体を考えてもともといなかった生物も含めて多様性を高めるのか」「巣箱の設置などはやり過ぎると人の資源に依存した環境になってしまう」などと、環境の維持と創出のバランスを問う意見が目立った。

トヨタ側は「あくまで現状を出発点に現状維持を目指すが、具体的にどの種をどうするかについてはさらに慎重に検討する。無理な保全をしても長続きしないので、地元にも協力を願って間違った作業は行わないようにしたい」などと説明した。

委員会は公開だったが、一般の傍聴者は3人ほど。岡崎市の計画地周辺から訪れた男性は「地元ではまだ一部反対する人たちもいるが、ここまで来てしまえばと認める雰囲気のほうが強い。公開でデータも出てきているので、以前の開発に比べればましになったのでは」と話した。次回委員会は来年春に開かれる予定。(オルタナ編集委員=関口威人)

2012年10月27日(土)20:53

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑