主張の対比鮮明に 都知事選告示初日

(上)新宿駅西口で演説する猪瀬候補。石原前都知事や橋下大阪市長の姿も(下)高円寺駅北口でマイクを握る宇都宮候補=いずれも29日

東京都知事選挙が29日に告示され、新人9人が立候補した。

主な候補者は届け出順に、元神奈川県知事の松沢成文氏、元自民党総務会長の笹川堯氏、日本未来の党と共産党、社民党が支持する元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏、公明党と日本維新の会が支持する前東京都副知事の猪瀬直樹氏の4人。

各候補者は都内各所で支持を訴えたが、記者はこの内、宇都宮氏と猪瀬氏の街頭演説を聞いた。(オルタナ編集委員=斉藤円華)

■猪瀬氏「石原都政の継承を」

猪瀬氏は午前11時、新宿駅西口で第一声を上げた。

「震災に備え企業も72時間分の備蓄をしよう、ということで帰宅困難者条例を制定した。避難時には水や毛布を差し出せるような、互いに助け合う東京を作りたい。韓国と同じ規模のGDPを持つ東京は、日本の持続可能性を確保しなければならない。

石原慎太郎前都知事は財政再建団体転落の寸前から都の財政を再建した。8千億の貯金があるからこそ、都の政策は今も貫徹できている。都の職員の退職金も13%削減し、150億円節約できた。東京電力を改革し、東京湾に民間資本を呼び込んでメガソーラーなどの新しい電力を作らなければいけない。石原氏の下で学んだ都政の方法論を生かしたい」

応援演説では石原氏が「私は数字が全然だめだがこの人はとても詳しい。いい後継者になる」、大阪市長の橋下徹氏は「口ばかりでは何も変わらない。猪瀬氏は抵抗を突破する力がすごい」などと述べた。

■宇都宮氏「東京から脱原発を」

宇都宮氏は都内各所で演説後、夕方、高円寺駅北口へ。

「東京から脱原発を進めよう。就任したら東電の株主として福島原発と柏崎刈羽原発の廃炉を提案する。東電を解体して発送電分離し、自由に送電線を使って自然エネルギーの電気を企業や家庭に流せるようにする。都が全面的に支援して自然エネルギー産業を飛躍的に拡大させれば、若者に雇用が生まれる。

石原都政は福祉を切り捨て、大規模開発でビルや道路は造るが弱者や高齢者、若者、子育ての母親に冷たかった。脱原発デモの日比谷公園使用も不許可にした。トップダウンのリーダーシップは全体主義の独裁者と同じ。市民に都政への参加を求め、そこで物事を解決するのが真のリーダーシップだ」

応援演説では社会学者の小熊英二氏が「都議会に阻まれた原発都民投票を代理的に行う機会に恵まれている」、俳優の山本太郎氏は「一人で生きられない人を守るのが行政。そのために税金を使うべき」などと述べた。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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