人口減少の「バス」に乗ったのは「日本だけ」

--日本に続いて、欧州連合(EU)ベースでも2008年に人口のピークを迎える。ドイツでも、2050年の人口が現在より2300万人も少ない5900万人との予測が出ている。イタリアもフランスも同様だ--(引用終わり)

ところが最近(2012年12月)、EUでの人口推移を調べて、驚いた。

フランスではその後も人口が増えている。2005年に6096万人だったのが、2012年には6241万人と、150万人も増えた。

イタリアでは、2005年の5846万人から、2012年には6089万人に達した。イギリスも2005年の6024万人から6307万人に増加している。ドイツだけが微減の状況だ。2005年の8246万人が、2012年には8177万人となった。

EU全体の人口増減率は、この数年0.1-0.15%で推移していたが、2010年には0.2%と跳ね上がった。(Population Division of the Department of Economic and Social Affairs of the United Nations Secretariat, World Population Prospects: The 2010 Revision)

日本の人口減少問題については楽観論者と悲観論者がいるが、楽観論者の根拠の一つに「人口減少は、日本だけの問題ではない」という主張がある。

計画的な移民移入を続けている米国は別として、「人口減少は先進国共通の現象であり、抜本的な解決策はない」と多くの日本人が信じ切った。

ところが、この数年間、日本が人口問題を放置している間に、特に欧州各国は着々と手を打っていたのである。

人口減少の「バス」に、先進各国(特に西欧)と一緒に乗っていたはずが、気が付けば、欧州諸国はその「バス」から飛び降りてしまっていた。日本だけが、人口減少社会めがけてひた走っている現状だ。

森 摂(オルタナ編集長)

森 摂(オルタナ編集長)

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長 武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。

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