日本の「CSR経営元年」から10年――『日本CSRのDNA』は、いかに形成され、どう変貌するのか

2. 欧米CSRとの比較において、日本CSRは「法令遵守+社会貢献+環境対応」と言われる。この『日本CSRのDNA』とも言うべき特徴は、1960年代から1990年代にかけて、日本企業が不祥事と反省・自戒を繰り返すなかで、国内の視点から独自に形成されてきたものである。

3. ところが、2000年頃から日本企業に対して欧米調査機関からSRI(社会的責任投資)銘柄選定のための膨大なアンケートが届くようになり、日本企業は自分達の考え方とは異なる欧米CSRを知った。この“欧米CSRショック”を契機として日本CSRの模索が始まり、その流れの中で2003年の「CSR経営元年」を迎えたのである。

4. 2010年代になると、CSRの概念・実践・報告に関する世界的な動きが出てきた。2010年にISO26000(社会的責任の国際規格)が発行され、CSRの基本概念と実践課題が国際的に合意されたのである。翌2011年にはIIRC(国際統合報告委員会)が、財務情報と非財務情報(環境・社会・統治)を統合して報告するフレームワーク(案)を提示した。実証プロジェクトも始まっている。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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