編集長コラム)「何かあったら誰が責任を取るんだ?」

i-pod の原案も、三洋電機の社員が開発して当時の経営陣に提案したが、こともあろうに却下されたそうだ。昨今の国産家電メーカーの不振も、こんなところに原因があるのだろう。

NDS症候群は、「未来のリスク」を過剰に考えた結果、新しいビジネスやイノベーションに踏み出せない構図だ。本当のリスクは、「何もしない現状」にあると考えた方が良い。

オルタナの次号(3月29日発売)の第一特集では、社会を良くしようとする「ソーシャル・パワー」が日本最後の成長戦略になると書いた。

ソーシャル・ビジネスやソーシャル・イノベーション(社会変革)の意識が高い企業ほど、中長期的に見て業績も良くなるはずだという結論だ。

こうしたグリーンでソーシャルな企業にとって、NDS症候群は無縁だろう。イノベーションへの近道は、多少のリスクは覚悟の上での初志貫徹だ。こうした企業が日本でたくさん生まれ、育っていくことを切に願っている。(オルタナ編集長 森 摂)

森 摂(オルタナ編集長)

森 摂(オルタナ編集長)

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長 武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。

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