「誰でも電力を選べる社会」目指し、世田谷でシンポ

■ J:COMはマンション単位でPPSと契約

ケーブルテレビなど通信事業を手がけてきたJ:COMも新しいサービスを開始した。J:COMが行うのは発電事業ではなく、PPS(特定規模電気事業者)がつくった電気を一括購入して、マンションに割安で小売りする電力供給サービスだ。

通常は一般家庭が地域の電力会社からPPSに契約を切り替えることはできないが、マンション単位なら可能となる。東京電力から供給先を切り替えたいという声を反映して、2012年12月と2013年4月に各一棟ずつの電力供給を開始した。

保坂展人世田谷区長は、「区の電力をPPSに切り替えたことで6650万円の削減効果があった」と報告した。

区民からも切り替えたいという要望があったことを受けて、世田谷サービス公社を通して太陽光パネルを一括購入して安く設置できる「せたがやソーラーさんさん事業」を発表。4月現在、その事業で設置した家庭は200軒を超えた。

保坂区長は言う。

「原発事故が起きる以前は、エネルギーシステムは国策であり、自治体が議論するようなものではないという認識が一般的だった。だが諸外国では、電力システム改革はまさに自治体から始まっている。日本でもそういう議論や実際に形にしている人たちが増えてきたが、それぞれ立場の違う人たちとつながって世田谷発のエネルギー事業を進めていきたい」

こうしたさまざまな立場の人が集う世田谷新電力研究会では、民間のネットワークを活かした日本初の地域PPSの設立を目標にして、5月から本格的に動いていく予定だ。(ノンフィクションライター・高橋真樹)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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