日本以外での人権影響評価を実施するにあたっては、その国で働く現地スタッフに人権に関するインタビューを試みるなど、人権に対する考え方を認識することから始めることもできる。
世界40カ国以上でサービスを展開するヨーロッパ有数のレジャー旅行会社のクオニ・グループ(本社スイス)では、自社のケニアでのサービスをパイロットプロジェクトとして、人権影響評価を実施し評価書を発行している。
この評価書の中身としては、1.クオニの企業責任のコミットメントについての背景、2.実験プロジェクトの目的、3.プロジェクトのリーダーシップ、パートナー、監督、4.影響評価プロセス、5.発見と可能性のある行動の概要(労働問題、児童労働、経済のベネフィット、コミュニティへの影響)、6.教訓、7.今後の方針、8.外部のステークホルダーからの声明――などを取り上げている。
また、世界最大の鉄鋼メーカーであるアルセロールミッタル社(本社:ルクセンブルク)では、人権への影響が高いとされる地域、ブラジル、リベリア、カザフスタンで、人権影響評価を実施している。
アルセロールミッタル社では、この「人権影響評価」について「人権がどのように経営実務に統合されているかを確認するもので、さらなる改善をしていくために使用する」としている。