「欧州企業と人権(3)人権デュー・ディリジェンス」――下田屋毅の欧州CSR最前線(27)

日本以外での人権影響評価を実施するにあたっては、その国で働く現地スタッフに人権に関するインタビューを試みるなど、人権に対する考え方を認識することから始めることもできる。

世界40カ国以上でサービスを展開するヨーロッパ有数のレジャー旅行会社のクオニ・グループ(本社スイス)では、自社のケニアでのサービスをパイロットプロジェクトとして、人権影響評価を実施し評価書を発行している。

この評価書の中身としては、1.クオニの企業責任のコミットメントについての背景、2.実験プロジェクトの目的、3.プロジェクトのリーダーシップ、パートナー、監督、4.影響評価プロセス、5.発見と可能性のある行動の概要(労働問題、児童労働、経済のベネフィット、コミュニティへの影響)、6.教訓、7.今後の方針、8.外部のステークホルダーからの声明――などを取り上げている。

また、世界最大の鉄鋼メーカーであるアルセロールミッタル社(本社:ルクセンブルク)では、人権への影響が高いとされる地域、ブラジル、リベリア、カザフスタンで、人権影響評価を実施している。

アルセロールミッタル社では、この「人権影響評価」について「人権がどのように経営実務に統合されているかを確認するもので、さらなる改善をしていくために使用する」としている。

shimotaya_takeshi

下田屋 毅(CSRコンサルタント)

欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。執筆記事一覧

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