「欧州企業と人権(3)人権デュー・ディリジェンス」――下田屋毅の欧州CSR最前線(27)

■ 人権影響評価の結論をどう社内のプロセスに取り入れるか

英国の「人権とビジネスに関する研究所(IHRB)」の調査によると、「ビジネスと人権に関する指導原則」の取り組みを開始している多くの企業は、この人権影響評価の結論を社内のプロセスに取り入れ実行すること、つまり企業活動に統合する部分が人権デュー・ディリジェンスのプロセスの最も難しい部分だと感じている。

ジョン・ラギー教授は、「企業は、人権の尊重を根付かせるために、企業トップからのリーダーシップを確保すべきである」と述べている。人権デュー・ディリジェンスはある意味でチェンジ・マネジメントのプロセスであり、経営陣のサポートなしでは成し得ることが難しいからである。

ジョン・ラギー教授は、「多くの企業で問題とされるのは、部門間で同時性を持たせていないことである。これは、人権方針と彼らの適用に一貫性を無くしている」という。同氏は、「CSRプログラムで、サプライヤーの従業員の権利を擁護している時に、購買部が、同じサプライヤーに対して、コスト削減と非現実的な期限を押し付けるなど強い圧力をかけるというようなことである」と例を挙げている。

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下田屋 毅(CSRコンサルタント)

欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。執筆記事一覧

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