インタビュー:「対話」が企業を生かす―「法令順守」は誤訳

─自分たちが社会問題を解決するという発想はまだ、日本企業には乏しいように思います。

震災で復興に取り組んだ企業をきちんと評価すべきです。NPOと連携し、問題解決に取り組んだ企業と、赤十字などに寄付するだけで済ませた企業との企業価値の差は明確になってきています。重要なのは、「CSRは社会貢献なのか」という議論ではなく、「金だけ出せば、静観して良い」という姿勢から脱却することです。

もし、目の前の問題解決に自分たちだけで対応しきれないならば、外部との連携をより促進するべきです。これは、日本の企業がアジアに進出する時も同様です。現地の先進的なNPOにお金を出すという程度の貢献では、企業価値向上には繋がりません。企業自身も汗をかき、NPOも巻き込んで問題解決に取り組むことに価値があるのです。

─そのためには、CSR関連の部署だけでなく、経営陣の理解が不可欠ですね。

経済同友会の社会的責任経営委員会の副委員長を2年間務めさせて頂きましたが、その点を理解しようとする経営者と、理解しようとしない経営者が二極化しています。丁度半々でしょうか。

もちろん、経営陣に理解させるにはどういうプロセスを踏めば良いのか、という周到さがCSR部にも不可欠です。 CSRの本質は、外部の環境変化を、経営の中に取り込むことです。それゆえ、本来、CSR部の仕事は、外部からの視点を企業全体に浸透させる仕組みをつくることです。

「何をすべきか」はCSR部が発信することではなく、結果として各現場が対応することだと思います。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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