まずは身体を鍛えなおそうと、近所のボクシングジムに行った。ひたむきな練習生たちの姿を見て「自分の失っていたものがあった」と思い、入会した。ちょうど女子のプロが創設された時期で、そのままプロ選手に。鋭いステップと腰を深く落としたスタイルから繰り出される右ストレートを武器に、14戦12勝中8KOを誇る。
デビュー戦以外は連勝が続いた。連続KO記録も作り、順調に見えたが「『女子ボクシング』のチャンピオンになって、意味はあるのか」と思うことも。
2年前、性同一障害の診断を受けた。これで性転換の手術をすることもできる――。迷う真道さんに、現在のパートナーが言葉をくれた。
「男とか女とかではなく、今頑張れる場所があることが大事だと思う」
真道さんは言う。
「今まで他の人と付き合ってきて『親にあなたのことは話せない』と言われてきた。でも、このパートナーの親からは逃げたくない。だからこそ世界チャンピオンになると決めたことも成し遂げたい」
世界戦には、付き合いに反対だったパートナーの身近な人たちも観に来てくれた。
「いつか相手の親御さんにも『こんなに頑張っているやつなら』と認められたい。まわりや自分が笑顔なのが素晴らしいこと。そのために今できることがボクシング」
(ライター・遠藤一)
◆ 真道ゴー ブログ