また、海水は年間を通じて水温の変化が少ないため、OTECは安定した電力源としても期待されるが、一方で発電コストの低減などの課題もある。
久米島のOTEC実証プラントでは、深層水を深さ612mの海底からくみ上げる。国内の海洋温度差発電の実証研究では、佐賀大学が2003年から出力30キロワットのプラントを稼働しているが、こちらはボイラーと冷凍機で温冷水を生成。実際の海域でのOTECの実証実験は世界的にも珍しく、久米島のプラントは最先端の事例という。プラントの熱交換器に伝熱性能の良いチタンを使用し、発電効率の向上を狙っているのも特徴だ。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)では、20年までに国内でOTECの商用発電を実現するとの目標を掲げており、今回の久米島のプラントはその先駆けに当たる。
同プラントで発電した電気は研究所内で自家消費。沖縄県産業政策課の担当者は「実証研究が目的で、売電は考えていない」と話す。また、同プラントでは深層水をくみ上げるためのエネルギー消費が発電した電力量を上回るという。研究所では今後2年間、プラントの運用を通じてデータを収集し、OTECの実用化に役立てる予定だ。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
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