放射性物質監視を一元化-環境法「改悪」に批判

環境法から放射性物質を例外扱いする「適用除外」の規定を削除し、広域的な放射能汚染に対処する法律を整備することが今回のそもそもの狙い。しかし、その裏で「地方の役割が削られ、国の権限が強化されようとしている」と、がれきの広域処理などに反対してきた市民団体「3・26政府交渉ネット」事務局の藤原寿和さんは指摘する。

大気汚染防止法ではこれまで、都道府県知事に大気汚染の常時監視と結果の公表義務があった。これが今回の法整備で、都道府県知事に対してはあらためて放射性物質を扱わなくてよいとする「適用除外」を当てはめる一方、大気中の放射性物質の常時監視と公表は「環境大臣」が行うという項目が加えられた。

「環境省が本当にできるのか。実際は自治体が観測せざるを得ないのに、自治体には法的根拠も予算措置もない『兵糧攻め』の状態にして、環境省が都合のいいようにデータをもらうだけ。自治体が住民の同意を得ようとすると物事が進まないという、がれきの広域処理の教訓から、自治体の権限を奪おうとしているのではないか」。29日、名古屋市内で開かれたこの問題の集会で、参加者から次々と疑問の声が上がった。

12の環境法令のうち、先の国会で成立したのは大気汚染防止法をはじめ水質汚濁防止法、環境影響評価法、南極地域の環境の保護に関する4つの法改正。その他の法令は現在行われている除染に関する特別措置法の経過などに合わせて順次変えられていくという。「このままなし崩し的に決まっていく恐れがある」と藤原さんらは危機感を強めている。(オルタナ編集委員=関口威人)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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