「消費者民主主義」を揺さぶる?観察映画「選挙2」

4日の今日、参議院選挙が公示された。21日の投票に向けてネット上を巻き込んだ選挙戦が繰り広げられるが、昨年末の衆院選、6月の都議選に続き、低投票率のまま与党が組織票を背景に圧勝するのか。そうした中、注目を集めているドキュメンタリー映画がある。想田和弘監督による5作目の観察映画、「選挙2」(2013年、カラー149分)だ。

■ドブ板封印の山さん「怒りの再出馬」

本作品は、2005年の川崎市議会補欠選挙に自民党から出馬した「山さん」こと山内和彦氏の選挙戦に密着した観察映画第1作「選挙」(07年)の続編だ。

映画「選挙2」 (C)2013 Laboratory X,Inc.

当時、切手コイン商を営んでいた山さんは「小泉純一郎のファンだから」という理由で自民党の候補者公募に応募。山さんが「小泉自民党」の落下傘候補として「電柱にもおじぎせよ!」とのかけ声の下、選挙関係者らに始終怒られながら挨拶攻め、握手攻めの「ドブ板選挙」に臨む様子を、映画はテロップや効果音などを一切排した「観察映画」の手法で淡々と描き出す。その苛酷で異様な選挙活動の様子は、海外の映画祭で「コメディーだ」などと批評された。

そして時は下り、「選挙2」の舞台は11年4月の統一地方選挙。07年の任期満了と同時に自民党を離党した山さんは、3・11にともない起きた東電原発事故を受けて川崎市議選への再出馬を決意する。しかし今度は6年前のドブ板選挙を封印。組織なし・カネなし・看板なし、ポスター印刷代などわずか8万円余の費用だけで選挙戦に臨む。

当時、主夫として3才の息子を育てる山さんを再出馬に突き動かしたのは「怒り」だ。「あれだけの事故が起きたのに、他の候補者は誰も脱原発を語らない」。3・11以前は原発容認だった山さんの怒りは、原子力ムラやマスメディアが流布していた「安全神話」を盲信していた山さん自身にも向けられている。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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