いやがらせには、市民の心のうちにある日常性を揺さぶるだけでなく、離反工作のためリーダーの名をかたる怪文書もあった。原発事情の啓発のため出版された『原発いらない にこにこかるた』(宇宙はてない社)を揶揄した『原発建設 反対! 賛成! いろはカルタ 大相撲』なる創作物もある。いやがらせ創作物のほうが文章は数段技巧が高く、プロのコピーライターのような専門家の介在が明らかだ。ネットですでに指摘されている「自作自演」があり得ないことがよく分かる。
開催両日とも主催メンバーである、弁護士の海渡雄一氏、原子力資料情報室の共同代表の西尾漠氏、不審死を遂げた動燃職員の妻の西村トシ子氏による事情説明のトークが行われた。海渡は、いやがらせ行為が大規模かつ巧妙であることから電力会社と公安機関さらに広報の専門家による「官民の合作」によるものではと推理を述べた。
夏以降、原発の再稼働が予定されており、本展開催には今後予想されうる事態に備える教訓にしたいとの主催者側の思いがある(すでに新たなかたちのいやがらせは始まっているという)。日本が民主主義国であり続けるため、過去の戦争だけではない、市民が常に学び、警戒し、問い続けねばならない史実がある。
反原発へのいやがらせの歴史展
2013年8月10日、11日
新宿区立区民ギャラリー(東京都新宿区西新宿2-11-4)
主催:反原発へのいやがらせの歴史展実行委員会(代表・海渡雄一)
問い合わせ先:東京共同法律事務所(TEL: 03-3341-3133)