「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)が企業を強くする」――専門家や企業トップが議論

■ 「2020年までに『世界標準』のダイバーシティを」

第2部では、ダイバーシティ研究所の田村太郎代表理事、内閣府の別府充彦大臣官房審議官(男女共同参画局担当)を迎えて、パネルディスカッションが行われた。

田村代表理事は、これからのダイバーシティには「テーマの多様性」「働き方の多様性」「担い手の多様性」の3つが必要だと指摘した。「社会的少数者が『社会に適合』する生き方を模索するのではなく、社会全体でこれまでの働き方や生き方を変えていかなければならない。2020年までに『世界標準』のダイバーシティを」と求めた。

少子高齢化が進み、激しい人口変動が見込まれる日本だが、別府氏は「ダイバーシティが所与のものである諸外国に比べて、日本ではまだ取り組みが遅れている」と指摘。女性活用については、「日本のデータを見ると、共働き世帯でも、約8割が全く「家事」を行わず、約7割が全く「育児」を行っていない。男性がどうやって家庭に入っていくかが大きなテーマ」と話した。

これを受け、花形氏が「いくら女性をマネジメントしても、会社が男性を縛り付けてしまえば、女性は社会に出られない。男性の働き方を変えることも重要」と発言。

田村代表理事も「おむつ替えスペースがある男性トイレを増やすなど、ハードの変化も影響が大きい」と話し、伊藤取締役は「若い世代は意識が違うので徐々に変わっていくはず」と期待を込めた。

第3部の「フューチャーセッション」では、受講者が6人ずつのグループをつくって話し合い、その内容を発表した。障がい者や外国人などにも視野を広げたD&Iの議論を求める声が多かった。あるグループでは、聴覚障がいを抱える受講者が「健常者だけで話し合うのではなく、こういう場に当事者が参加することが大切」と呼びかけ、大きな拍手がわいた。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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