「21世紀半ばの夏に北極海の氷がなくなる?」――IPCC第1作業部会報告(上)

■ 猛暑や熱波、豪雨が増加する可能性も

今回の報告書は、地球温暖化が一層進んでいることを示すものとなりました。特に海洋と雪氷については、前回の第4次評価報告書よりも深刻な状況にあることを報告しています。

世界規模で、海洋の表層(0~700m)の水温が上昇していることはほぼ確実とし、海洋に熱が貯留されていることを示しています。また、北極海の海氷が溶けており、最も高いシナリオ(RCP8.5)では、21世紀半ばの夏に海氷がほぼなくなる可能性が高いことも示されました。

また、南極やグリーンランドなど、陸地の氷も過去10年の間に急激に溶けており、その速さは、さらにその前の10年間に比べて数倍のスピードに相当するとされました。そのため、海水面の上昇の加速も指摘されています。

特に、南極やグリーンランドなどの陸地の氷が解けることにより、第4次評価報告書の時よりも海面上昇の幅が大きく、最も高いシナリオ(RCP8.5)で0.45~0.82mと予測されています。

大気中の二酸化炭素の濃度が上がって海水に溶け込むことで、海洋の酸性化が進んでおり、今後さらにそれが深刻化するという予測も発表されました。これらの海水面の上昇や海洋酸性化はいずれも、大都市を沿岸部に抱え、海洋生態系に食べ物や生活を依存している海洋国家の日本にとって、影響が非常に大きい事柄です。

また、この夏、日本は猛暑や豪雨を身近に経験しましたが、今回の報告書ではあらためて、今後さらに猛暑や熱波、豪雨が増加する可能性が、非常に高いと指摘しています。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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