米国の産休制度、職場復帰が簡単に--USワーキングマザー考(1)

■ 職場復帰支える米国の産休制度

ちなみに、米国の「産休制度」を支えている法律の名称は、直訳すれば「妊娠による差別に対する規制」。1978年に、病気による差別に対する規制と同じ条件が与えられた。

その主な内容は、次の通り。

1)雇い主は、妊娠を理由に解雇できない
2)雇い主が、妊婦に産休を強制的に取らせてはならない
3)雇い主は、仕事内容を調整したり、他の仕事を与えるなどの条件変更を得られる権利がある
4)自分の仕事をこなせる限り、産休を取る必要はない
5)雇い主は、産休後のポジションを確保しなくてはならない

ただし、上記の条件は、社員「15人以上の会社」のみ。それ以下の会社は、この規制に従う必要はない。だがこの法律は、「差別を受けない」ために役立つだけの法律で、もし他の社員が受けていない福利厚生などがあっても、企業内の妊婦に与える必要はない。

そこで登場したのが、1993年の法律「The Family and Medical Leave Act (FMLA)」である。これにより、1週間に最低25時間以上働いている人は、無給だが12週間(3カ月)まで、仕事のポジションを確保できる。

これは米国における「連邦」の規制であり、さらに州によって、この規制内容は変わって来る。

例えば、カリフォルニア州には「the California Family Rights Act(CFRA)」という労働者に取って「有利」に働く、つまり企業にとっては「厳しい」規制が用意されている。

CFRAの概要は、次のとおり。

1)雇用主は産休中の医療保険を継続的に保証しなくてはならない
2)産休は4カ月まで取得可能
3)家族のケアをするために取る場合は12週間まで取得可能

この法律は、50人以上の社員を持つ会社を対象にした法律だ。ただし、前述のロブレスさんの場合、転職先は50人以下の製薬会社の会計部門。しかし、同社はCFRAをベースにした産休制度を取り入れていた。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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