■多様性を尊重した商売
福島屋では「講座ビジネス」と並行して、商品知識を身につけた消費者が「買いたい」と思わせる仕組みづくりにも取り組む。農産物は生産者との直接取引で仕入れた自然栽培のものを陳列。
また、食品の安全性を商品ごとにシールで色分けして表示したりもしている。さらにパンや麺などの加工食品は素材を選び、自社生産することで商品力を高めた。
福島氏は現在のビジネス環境を「生産・加工・販売・消費が、それぞれの立場で幸せになろうと努力している。しかしそれは横のコミュニケーションがないと実らない」と分析。
その上で今後に向けて「『伝統文化』を今の技術レベルで再構築する時代が来ている。土着の物、あるいは個々が活性化して社会を作り、全体へと波及するような視点でビジネスを進めたい」と展望した。
セミナーのファシリテーターを務める法政大学の小川孔輔教授は「米国のスーパーは均質な商品を売っている。しかし人間の好き嫌いはみな違う。誰にとってもおいしいはあり得ない。
これからは多様性のあるフードシステムが必要で、福島屋はそうした時流に適合しているのではないか」と評価した。