ヤードルによると、家庭にあるモノのうち、80%は月に一度も出番がなく、貸し倉庫の規模は過去30年で10倍にも増えた。
出番のないモノを共有のシステムを使ってうまく使い回すことで、新規購入の必要性を25%減らそう、というのが同社のミッションだ。プログラムを立ち上げて間もないため、主要な顧客は、トレンドに敏感な若者と子どもを持つ母親が中心だという。
「共同消費」は シェアリング・エコノミーとも呼ばれ、米国のサステイナビリティ界でも旬のコンセプトだ。サンフランシスコに本社を置き、ネット上で空き部屋などのスペースを貸す「エアB&B」が先鞭をつけた。
モノや場所に対する需要のタイミングは、消費者によって違う。そのタイミングを共有し、必要としている人のところから必要としている人のところへ効率的にモノ・情報を回すことで製品の「使われていない」期間を短くし、新規購入への需要を減らす。
それにより、つくり続け、捨て続けることが前提になっているムダの多い経済の仕組みを変えていこうという試みだ。「クレイドル・トゥ・クレイドル」(ゆりかごからゆりかごまで、C2C)や「サーキュラー・エコノミー」など経済システム全体の資源循環の効率化と価値創造ポテンシャルの最大化を同時に達成しようとするコンセプトも浸透してきた。
共同消費はそれらのコンセプトを迅速に実現できる手段として期待を集めている。
「モノをシェアする」という考えは何も新しいものではない。それが急速にビジネスと結びつき始めたのには、ソーシャルメディアの発達が深く関わっている。エアB&Bやヤードルは、サービスの範囲をフェイスブックなどの知り合いだけに限定したり、借り手と貸し手の情報交換を可能にしたりすることで、リスクや非効率性を減らそうとしている。
コスト面でも、ネットワークの利用やクラウド・ソーシングは力を発揮している。ネットワーキングの技術は新しいサステイナビリティのビジネスモデルに不可欠なだけでなく、IT・ネットワーク方面からの投資を呼び込むきっかけにもなっている。
フェイスブックやエアB&B、ヤードルなどの企業が西海岸ベイエリア、シリコンバレーに集中していることからも、ネットワーキング技術、それをベースにしたサステイナビリティ関連の新興ビジネスと、ベンチャーキャピタルの親和性が見て取れる。