このような意識は、会社が常々、社会的責任を社員に浸透させる教育をしていないと醸成できない。ここに、企業が(行政や非営利組織も)CSRに取り組む理由がある。
CSRといっても、コンプライアンス(法令遵守)やリスク管理といった「守りのCSR」だけでは限界がある。「あれをしてはダメ」「これもダメ」という「べからず集」は、「もぐら叩きゲーム」のようなもので、不祥事は必ず起こる。
むしろ、災害時や緊急時だけではなく、社員が常に「社会に対して何か良いことをしよう」という意識があれば、社員にプライドが育まれ、それが今回の山崎製パンのような、咄嗟(とっさ)の対応に出てくる。
そんな「攻めのCSR」が重要だ。社会からの「いいね!」が積み重なれば、自社への社会的評価が高まり、中長期的には必ず企業価値に反映される。
ビジネスを通じて社会的課題を解決する「ソーシャル・ビジネス」や、最近の日本でもはやりの「CSV」(共通価値の創造)は、さらに長期の「いいね!」効果を期待できよう。
投資家も(機関投資家でも)人の子であり、常日ごろ好感を持っている企業を応援したいと思うのは当たり前だからだ。(この続きは、朝日新聞社WEBRONZAの筆者連載コーナーに近日掲載します)