編集長コラム) 「JAPANESE ONLY」厳罰の裏にFIFAのCSR

CSRについての国際ガイドラインである「ISO26000」の7つの中核主題や、国連グローバルコンパクトの10原則には、「人権問題」が明確に規定されています。

その内容は人種差別だけではなく、児童労働や、オフィスの職場環境、過重労働などにも言及しています。自らが人権問題に違反するだけではなく、それを見てみぬ振りをする「加担」についても、厳しい立場をとっています。

FIFAは株式会社ではなく、非営利団体ではありますが、そのウェブサイトには「CSR」(企業の社会的責任)のページがあります。

http://www.fifa.com/aboutfifa/socialresponsibility/about.html

FIFAの当該ページには「私たちの人材」「私たちのゲーム」「私たちのイベント」「私たちの社会」「私たちの地球」という5つの項目を示しています。

さらに「人種差別反対」のページも設け、「国、個人、グループ、肌の色、人種、国籍、出自、性別、言語、宗教、政治的意見などあらゆる事項について差別することを厳しく禁止し、排除する」と宣言しました。

FIFAにとっては、ほぼすべての国・地域でサッカーが親しまれている以上、人種や宗教による人種差別が起これば、グローバルなスポーツとして成り立ちません。「そうなればFIFAの存在意義すら危うくなる」という危機感が根底にあるのです。

グローバリゼーションは富の偏在や貧富格差の拡大など、負の側面で語られることも多いです。しかしサッカーのような世界的スポーツは、人種や宗教を超えた安全装置として、「正のグローバリゼーション」として位置づけられるべきです。

それだけに、それを危うくする行為や言動に対しては、厳しい処分が下されるのです。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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