編集長コラム) 「CSRからCSVへ」に対する警鐘

企業の最終目的は利益を出すことであるというミルトン・フリードマン的な考え方においては、それはそれで自然な選択だったとも言えます。

ただ、改めて整理をすると、CSRは「行動規範」であり、CSVは「企業行動」です。オリンピックの競技に例えると、CSRはルール。CSVは競技そのものです。

そう考えると、「CSRからCSVへ」というスローガンは、「ルールを忘れた競技」になるという懸念があるのです。

実際に「CSRからCSV」へという言い方をしている人がどれだけいるかは分かりません。また、CSVを掲げている人が「すべてCSRを忘れている」こともないでしょう。ただ、このスローガンは、上記のような誤解を受けやすい言い回しであることは確かなようです。

日本のCSR元年とされた2003年から10年が経ち、これからは「セカンド・ステージ」に向かいます。その中で、上場企業約3500社のうち、本格的なCSR活動に取り組んでいるとみられるのは約1000社。つまり、まだ3分の2は手付かずの状態なのです。

それを考えると、「CSRかCSVか」という浅薄な議論をしている暇はなく、専門家や関係者が一丸となって、CSRをさらに日本企業に浸透させるのが何より重要です。(オルタナ編集長 森 摂)
(この続きは、朝日新聞社WEBRONZAの筆者連載コーナーに近日掲載します)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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