CSR活動やNPO活動も、このように「短くて覚えやすい名前」が望ましい。それだけではなく、筆者が提唱する「ソーシャル・ブランディング」の観点から見ると、次の5つの要素が不可欠だろう。
それは(1)ネーミングのほか、(2)言える化(3)デザイン化(4)差異化(5)見える化--の5つである。
2)の「言える化」とは、「見える化」をもじった表現だ。人は、何かを見たり、聞いたり、読んだりしただけでは、なかなか記憶に残らない。逆に、「人にそれを伝えることができる=言える」ということは、その事象をきちんと理解し、記憶していることになる。
そのためには、「短くて覚えやすい名前」だけではなく、人の記憶に残りやすい「ストーリー」が不可欠だ。最近、IR業界で、非財務情報の開示のための「ストーリー・テリング」がグローバル規模で注目されているのもこのためだ。
ここで有効なのは「引き算の広報戦略」だ。網羅的な「幕の内弁当」型より、一つに絞り込んだ「うな重」型のメッセージが伝わりやすい。日本のCSRレポートは「幕の内弁当」の典型で、たくさんの「おかず」が入っているが、後で何を食べたか忘れることもある。
これに対して、「うな重」のおかずは一つだけ。しかも価値が高いおかずだ。香り高いその匂いは、五感を使ったコミュニケーションとさえ言える。