エシカルウェディング、思いやりの結婚式【サステナブルな世の中って?】

一方、日本では、1970年代から生協や市民団体などが、洗濯石鹸や有機食材、省エネ省資源製品などのエコ製品を扱ってきました。これらの製品は値段が高くデザイン性は二の次でした。

しかし、最近注目されるエシカルの場合はファッションショーと結び付いたように、デザイン性やファション性でも見劣りしない製品が増えています。

実際に、フェアトレードや間伐材・オーガニックコットン・有機食材などを使った家具・衣料・雑貨・加工食品や、鉱山の採掘現場での児童労働や環境汚染に配慮した貴金属を使ったエシカルジュエリーなど、身の回りで使えるアイテムは増えています。ただし、エシカル商品は、単品で使ってもインパクトに欠ける。 エシカル消費を点ではなく面にして印象的に見せられる、うってつけの場としてウェディングがあるのではないか。そんなことを思いついた時、エシカルウェディングをぜひやりたいという女性と知り合いました。

もともと彼女は、沖縄のサンゴのかけらを和紙に織り込んだウェディングドレスや、野の花のブーケを使うなど、こだわりのある女性でした。当日は天気にも恵まれ、古い洋館と庭が素敵なガーデンウェディングを「エシカル」というコンセプトでプロデュースした本格的エシカルウェディングとなりました。 緑豊かな庭での結婚式、オーガニックな食材を使った料理、フェアトレードコーヒーや、お色直しにはエシカルジュエリーと天然エコ素材のドレス、引き出物にはアフリカの女性生産者組合1000 人が関わっているシアバターソープなど。

新郎新婦のはじけるような笑顔が参列した親族友人に広がり、それが空間を超えて、結婚式にかかわった多くの人たちの笑顔に伝播していくのが目に見えるような素晴らしいひと時でした。結婚式はもともと多くの祝福を受ける大事な日です。

そこで肩肘張らない自分らしいエシカル(思いやり)を演出してはどうでしょう。みんなの幸せの連鎖の中に自分の幸せがあることを実感できること、請け合いです。


*1(株)デルフィス「第2 回エシカル実態調査」(2011.6 実施、2011.8.8 公表)
*2(株)シタシオンジャパン2011.10.26「調査結果リリース 震災から半年後の全国1万人調査で判明!!」
*3 ジョン・ガースマ、マイケル・アントニオ共著、有賀裕子訳『スペンド・シフト』プレジデント社 p.38

【かわぐち・まりこ】2010年~2011年大和証券グループ本社CSR 担当部長を経て、2011年より大和総研調査本部主席研究員。担当分野は環境経営・CSR・社会的責任投資。社会的責任投資フォーラム代表理事・事務局長、など。

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第1号(2012年10月5日発行)」から転載しました)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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