ソーシャルイノベーションの生み出し方【世界を変えるCSV戦略】

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水上 武彦(株式会社クレアン)

CSVの3つの基本アプローチ(製品・サービス、バリューチェーン、クラスター)のうち、最大のインパクトを生む可能性を持つのは、「製品・サービスのCSV =社会問題を解決する製品・サービスの提供」です。CSV などと言わずとも、社会問題を解決する製品・サービスとして提供されているものは、環境や健康に配慮した製品など沢山あります。

しかし、CSVの目的は、持続可能な社会の構築に向けて資本主義を進化させることです。そのためには、社会問題を解決するための「新しい価値を生み出す」製品・サービス、すなわち「社会問題を解決するイノベーション」が必要です。それは、社会問題を解決する「市場を創る」か「市場を大きく拡大する」ものです。

代表的な例で言えば、ムハマド・ユヌス氏が創設したグラミン銀行は、マイクロファイナンスという新しい市場を創っています。また、ゼネラル・エレクトリックのエコマジネーションは、環境ビジネス市場を大きく拡大しています。

社会問題を解決するイノベーションは、「社会問題と解決策の新しい組み合わせ」によって生み出されます。その第一歩は、組織として社会問題に触れる機会を増やすことです。

まずは社会貢献活動として

そのために、IBMは、コーポレート・サービス・コー(CSC)という取り組みを実施しています。これは、IBM 社員による支援チームが、新興国市場での社会問題解決のための社会貢献活動を行うものです。CSC では、世界中から公募で選ばれたグローバルチームが、1カ月間新興国に派遣され、当該国の政府、行政、教育機関などが直面する問題を解決するための支援をします。

IBMでは、さらに事業ビジョン「スマーター・プラネット」のターゲットである都市の問題解決に特化したスマーター・シティーズ・チャレンジ(SCC)という社会貢献活動も開始しています。社員のチームを新興国および先進国の100都市に派遣。都市の問題を分析し、より良い市民サービスを提供し、都市運営を効率化するためのアドバイスを市長に提示します。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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