水上 武彦(株式会社クレアン)
「ブルーオーシャン戦略」は、競争の激しい既存市場(「レッドオーシャン」)を避けて、競争のない新しい市場(「ブルーオーシャン」)を創造する戦略です。戦略の理想形である「戦いを『略す』」を実践するものと言えます。
ブルーオーシャンを創造するカギは、製品・サービスの提供価値を見直すことです。これまで当たり前と思われていた価値を新鮮な目で見直すことが必要です。そのためには、まず製品・サービスの提供価値を洗い出す必要があります。
そのためのツールとして、「戦略キャンバス」があります。戦略キャンバスとは、横軸に価格、使いやすさ、信頼性などの提供価値を、縦軸にその提供価値の大小を示したグラフです。これを描くことで、その製品・サービスの特徴、すなわち、どのような価値の組み合わせを顧客に提供しているものかが、明らかになります。
ブルーオーシャン戦略の代表例として挙げられるのはサーカス「シルク・ドゥ・ソレイユ」です。その提供価値を戦略キャンバスに描くと、従来、サーカスでは当たり前とされてきた花形パフォーマーや動物ショーといった提供価値を削減。
その一方で、新たにテーマ性や快適な鑑賞環境、芸術性の高い音楽とダンスといった提供価値を強化しています。
ブルーオーシャンの創造とは、戦略キャンバスの中で、従来とは異なる新しい提供価値の組み合わせか、従来は無かった新しい提供価値を見つけることです。
色眼鏡外し「サステナビリティ・レンズ」を
しかし、既存のパラダイムに漬かっていると、なかなかブルーオーシャンは発見できません。それを見つけるために、ブルーオーシャン戦略では、1) 代替産業などほかの産業から学ぶ、2) 本当の顧客に目を向ける、3) 補完的なサービスを見渡す、4) 機能志向と感性志向を切り替えてみる、5) 長期的なトレンドを見通す――などのアプローチを提供しています。