[CSR]住友林業「日本の林業は活性化できる」

◆全社的に国産材利用比率は6割以上に達している

―課題は切り出した木をどうするかですね。一番良いのは、その木が高い価値を生み出すことですね。

安藤:実は国産材の自給率が上がって来ています。合板利用での利用も増えています。今、住宅でいえば木造建築の骨組みの柱のほとんどは、集成材(小さい木材を貼り合わせた木質材料)です。合板用材は、あくまでも、壁の中で補強材として使われたり、床下の床材として使われていたりします。

ですから、なんらかの形で、当社の木造建築に国産材は使われているわけです。原木を伐り出して、寸法をそろえただけの「無垢材」かと言われれば、必ずしもそうではありません。

当社の場合は、独自のマルチバランス構法の木造住宅に関しては、主要構造材の7割は国産材を使用しています。これは、日本国内全体では、国産材の自給率が3割程度であることを考えれば、かなり驚異的な数字ではないかと思います。

当社は、国内第三位の面積の社有林(総面積・約46000ヘクタール)を保有しています。当社の住宅商品で使用している木材は、そのボリュームから必ずしも自社の社有林材のみで対応できるものではないので、他地域からの調達もありますし、一方で、一般市場に供給している場合もあります。全社的にいっても、主要構造材の国産材比率は6割程度まで高まっています。

最近では、ビルを木質化することも出来ます。内装部分であれば、木材を使用することは可能です。海外では、大型の集成材パネルを使った「CLT工法」という最先端技術で、木造でも8階建てのビルが建っています。日本でも、国土交通省がこの工法を推進しようとしています。

民主党政権時代の2010年に法律が変わり、公共建築物に関しては、木造建築を推進するという法律(「公共建築物等木材利用促進法」)ができました。たとえば、学校や病院などです。小学校のような3階建ての建築物ならば、優先的に木造建築にしようという政策を進めています。

耐震性についても、技術進歩もあり、規制をクリアしています。

kouma

高馬 卓史

1964年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。総合情報誌『選択』編集長を経て、独立。現在は、CSR、ソーシャルビジネス、コミュニティ・デザインなどをフォロー中。執筆記事一覧

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