CSR部員リレートーク)中越パルプ工業株式会社「CSR部がない社内で奮闘」

しかし、使い道のない竹を大量に使うことで、全国に広がる放置竹林の問題や、地元タケノコ農家の生産性向上などに貢献し、隣接する森林や里山、生物多様性の保全、地域経済の活性化といった社会的課題を解決する糸口になります。

地域の方々との試行錯誤の末、持続的な竹の大量集荷が可能となり、本業を通じた社会貢献の良い事例となっています。竹紙の真摯な取り組みに感銘しながら、孤軍奮闘ですっかりキレていた私は、「竹紙は中越パルプの数少ない武器だ。竹紙で企業価値を上げてやる」と決意。勝手に自分の仕事にして活動を始めました。

幸い、社長や上司の役員は理解してくれたようです。「横浜開国博」でゼロから築いた小さな人脈は、わらしべ長者のように変化して、たくさんの知恵や協力を与えてくれています。社外の素敵な方々にたくさん会えることは、この仕事の大きな励みであり魅力です。

「アースデイ東京」や「エコプロダクツ」などの大きなイベントに毎年出展するようになり、「いきものにぎわい企業活動コンテスト」や「エコプロダクツ大賞」などにエントリーして大きな賞をいただきました。雑誌や書籍から取材を受け紹介されることも珍しくなくなり、今では、講演や討論参加の依頼も増えてきました。

当社にはCSRや広報の専門部署がありません。数年前にはCSRという言葉の意味すら知らず、自分で勝手に始めた仕事が、いつの間にかそのような活動にもなってきました。1)自分ができること、2)会社に必要なこと、3)社会に役立つこと――の3 つが重なる方向ならば、積極的に取り組むべきです。

しかし、やればやるほど、なぜか社内では嫌な思いが増えます。皆さんも同じ思いをしているかもしれません。私は「だからこの会社は駄目なんだ」と腐らず、駄目だからこそ「こんな私に活躍のチャンスがたくさんある」と考えています。それでも辛い時は「これは神が与えた試練だ」と諦めると少しだけ楽になります。

あなたの活躍で、世の中が少し良くなるなら、とても素敵なこと。適度に頑張りましょう。

【にしむら・おさむ】中越パルプ工業に入社後、約20年間、木材チップ集荷に携わる。米国シアトル駐在や秘書室ほかを経て、現在は2年前に新設した営業企画部で、企業価値を高める新しい取り組みを試行錯誤しながら、CSR部も広報部もない会社で奮闘している。

この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」から転載しました。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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