編集長コラム) 「もったいない」はグローバルなCSR課題

その次は、「野菜」だそうだ。一般的に、生活困窮者ほど野菜の摂取量が少なくなり、栄養バランスが崩れて、体調を壊しやすい。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると「収入と野菜の摂取量には相関関係がある」という。

よくレタスやキャベツの産地で豊作になり過ぎ、大量に廃棄するというニュースが流れる。こうした野菜こそフードバンクに送られるべきものと思うが、実際は、農家が野菜を廃棄すると農協から補償金が出るため、残念なことにフードバンクには送られることは少ない。

2HJの井出留美広報室長によると「米国では、余剰農産物を国が買い取り、困窮者のために使うという法律がある。カリフォルニア州サンフランシスコのフードバンクでは取り扱い食品の半分以上が野菜」だという。

フードバンクにとって、缶詰、レトルト食品、乾麺など保存が利く食品も、もらってうれしい存在だ。生活困窮者は電気・ガス、水道を止められているケースも多いので、封を切っただけで食べられる食品はとても喜ばれる。

企業では最近、食糧・水の備蓄が増えているが、備蓄の切り替え時期にまとめてフードバンクに送ってもらうことも2HJでは歓迎している。まとまった量が見込めると同時に、備蓄物の廃棄も避けられる。

食品ロスは、日本だけではなく世界共通の問題だ。いわばグローバルCSRの課題にもなっている。

editor

オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

執筆記事一覧
キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..