地域密着の小さなガラス店の仕事が減りつつあるなか、松本社長は「窓は設置して終わりではなく、長期的なメンテナンスが必要。地域の職人を失うことは消費者にとっても大きな損失」と考えた。
そこで、地域事業者向けに、「下請け」から脱却し、サービスを提供する立場としてのノウハウを教えるセミナーを開催。これまでに261回開催し、のべ1664人が参加した。
■これからの組織づくりを考える
松本社長は、「会社の成長を支えたのは社員。組織の成長には人づくりが欠かせない」と力を込める。これからの組織は、「トップダウン型」「競争重視型」ではなく、より「家族的」で、「創造性・柔軟」が重要になってくるという。
そこで、マテックスは2013年6月、全社員を巻き込んで事業の目的を見直し、「VISION(ビジョン)90」を策定した。
事業の目的は、「地域事業者と共創し、生活者の豊かな住まいづくりのソリューションを届ける」だ。
この事業の目的を達成するため、社員は自発的に、感性を磨くための自由参加研修を企画する。例えば、「里山レンタル田んぼでお米づくり体験」や、販売店を営む父親の仕事を体験できるキッズコーナーの設置などだ。
「部門を超えた対話の機会が増えたことで、社内でプロジェクトが続々と上がるようになった。今では社員が役職に関係なくミーティングに参加し、アイデアを共有している」(松本社長)
こうしてマテックス創業者の「お客様や従業員が安心できる環境をつくれば、利益はおのずとついてくる」という思いは受け継がれていく。