社会課題解決には「チャリティーより企業」【CSRフロンティア】

▼株式会社キッズベースキャンプの「キッズコーチとして子どもたちと関わるなかで、民間保育について知ろう!」
▼株式会社フェアリーランドの「フェアリーランドで園児と触れ合おう!」
▼株式会社ユーズの「天ぷら油で世界を変えるビジネスに触れよう!」
▼株式会社セールスフォース・ドットコムの「IT企業だからできる社会貢献~丸の内オフィスでボランティア」
▼株式会社資生堂の「化粧の力を実感しよう」

「子ども」「環境」も企業の力で

いずれも社会貢献的な企業である。キッズベースキャンプは東急グループが手掛けているサービスで、単なる学童保育ではなく、英語、農業体験、アート工作など多彩なプログラムで「社会につながる人間力」を育てようとしている会社。送迎車つきというから贅沢でもある。フェアリーランドは働くママがつくった保育園。病児専用ルームもあり、企業とも協力して子育てにやさしい社会をつくろうとしている。

ここ数年、社会的課題を意識している学生の人気は、ボランティア団体からNPO・NGO、そして社会起業家へという流れがあった。今年は、これが企業形態での社会貢献的活動にシフトしている。

規模は小さいが、子ども、環境など身近な会社のプログラムが人気である。ユーズは使用済みの天ぷら油を捨てるのではなく、それを集めてディーゼル油にしてバスを走らせようという会社だ。省資源だし、新たな燃料開発だと考えれば、東京も広大な「油田」であることに気付かせてくれる。

セールスフォース・ドットコムは得意のITでNPOを支援している。資生堂も華やかなイメージとは裏腹に、顔やあざややけどがあって、外出を控えがちな女性のために、「化粧の力」でそれをカバーし目立たなくする活動をしている。

学生の間で企業という形態に対するイメージが確実に変わりつつあるのは間違いない。利益をあげること以上に、社会課題を解決する企業の力に関心が向いているようだ。

【はらだ・かつひろ】日本経済新聞社ではサンパウロ、ニューヨーク両特派員。国連、NGO、NPO、社会起業家のほか、CSR、BOP ビジネスなどを担当。日本新聞協会賞受賞。2010 年明治学院大学教授に就任。オルタナ・CSR マンスリー編集長。著書は『CSR優良企業への挑戦』『ボーダレス化するCSR』など。

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第21号(2014年6月5日発行)」から転載しました)

原田 勝広氏の連載は毎月発行のCSR担当者向けのニュースレター「CSRmonthly」でお読みいただけます。詳しくはこちら

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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