[サプライチェーン]製鉄所火災事故と工場内サプライチェーン

4.海外勢との競争激化

何故こんなことを言うかと言うと日本人は全てをやり抜こうとする精神論が歴史的に企業を覆ってきた。これでは海外諸国、特に意気盛んなアジア諸国の経営姿勢に負けてしまう。民間企業でもジェネラリストでなくスペシャリストが重視されることが大切である。日本流のすべて平等に偉くなるという間違った公平精神論は捨てるべきである。一般企業人事では学卒社員は課長まで同期のほぼ90パーセント一律に昇格すると言われている。この体制は決して平等、公正ではない。

入社してから10年、15年の個人の業績成果をきちんと評価し査定していないからそういうことになる。現場ではあれほど厳しい上司が昇格人事となると皆平等に引き上げるのでは新興国に所属する同じグループの社員は不可思議に思うだろう。近年、少数ではあるが人事制度を世界中で統一するという日系企業も出てきたが、今度こそその旗を簡単に降ろさないで欲しい。何故なら、これまで、フレックスタイム制、成果主義人事、水曜ノー残業デーなどが話題となり持てはやされた時期があったが、今では露と消えてしまったからだ。

国内での話であれば何とか済んでいたものが、これからは世界が日本を、日本企業を、日本人を見る時代に入り、従来の「なあなあ」では済まされない事態になってきた。日本人社員があまり口を出さない「賃金」「昇進」「転職」を海外では日常茶飯事のごとく話し合われている事態を見れば日本人自身が変わらないといけないと思うのだが皆さんの意見はどうだろうか。

【うえはら・おさむ】特定非営利活動法人日本サプライマネジメント協会理事長、ESSECビジネススクール特任教授、法政大学経営大学院兼任講師

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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