[サプライチェーン]御嶽山噴火発生、物流リスクを考える

知人もそうだが、当時使える空港を求めて南ヨーロッパに陸路で向かう旅行者や代替交通手段を使おうとする旅客などで、ヨーロッパ各地の鉄道やフェリーも混乱したそうだ。

記録を探ると、ヨーロッパでは一日だけで2万便が欠航となり、その後の飛行制限は6万3000便となったらしい。国際航空運送協会の試算では、航空会社の損失額は2億ドル/日となったようだ。航空専門のコンサルティング会社は、こうした全便欠航が3日間継続した場合の経済損失は10億ドルにも及ぶと推計しており、運航規制解除後も航空便のスケジュール回復に時間がかかるとした。

一般に火山灰は、飛行機の計器に詰まるおそれや、機体の表面に火山灰が付着し、飛行中における微妙な重量のバランスを狂わせるおそれがあるとされマグマから発生するガラス質の粒子を含んでいる可能性もあり、これがエンジンの中に入ると、飛行中のエンジンの高温で溶け、エンジンに損傷を与えたり不調が生じるおそれがあるという。

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赤:領空封鎖、橙:部分封鎖 - 2010年4月18日時点

当時は、空域閉鎖に伴い、ヨーロッパ内およびヨーロッパと他地域との間での航空機による物資の輸送、物流網が不可能になったため、世界各国で生産活動に必要な材料や製造物、生鮮食品等の流通が滞り、経済活動に大きな影響が出たと報道された。

この内、日本を含むアジアの状況を見ると、日本では、日産自動車が部品の供給が中断したことにより、2010年4月、日本での3モデルの製造中止を発表。2つの工場では2,000台の車両の製造が停止した。中国の広東省の工場では、衣類や宝石類の航空便による出荷が延期され、韓国では、サムスン電子とLGエレクトロニクスが、電子機器の製品の輸出において毎日20%以上を空輸することができなかった。さらに香港工業總會によると、香港のホテルとレストランでヨーロッパ産商品の不足に直面していると発表された。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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