2050年までのCSR戦略:ネット・ポジティブ――下田屋毅の欧州CSR最前線(41)

同社グループ最高経営責任者イアン · チェシャー卿は、「ネット・ポジティブは、不確かな将来、資源不足、社会的不平等、地球規模の気候変動への対応である」とし、さらに「我々は、長期間に渡り地球の自然資本への依存が必要であることを認識している。例えば、紙や木材を含む当社の製品は約40%にも及んでいる。

世界の森林は継続して減少しているのを黙ってみている余裕はない。我々は既に洪水などの異常気象に気候変動の影響を感じ、それらがビジネスにも影響していることを認識している」と語る。

また同社は、マークス&スペンサーの前プランA(サステナビリティ)部長であった、リチャード・ギリース氏をサステナビリティ部長に任命し、ネット・ポジティブの考えを事業戦略に統合させている。ギリース氏は、「ネット・ポジティブを成功させるために、我々は、サステナビリティについてシステマティックで統合されたアプローチを取る必要があり、自社のビジネスモデルに根ざしているものでなければならない」と述べている。

この「ネット・ポジティブ」は、2050年までの長期のCSR戦略で、土台として「従業員」「サプライヤー」「環境」を据え、

その上に①木材、②エネルギー、③イノベーション、④コミュニティの 4つの大きな優先分野を設定し、2050 年までに「ネット・ポジティブ」な企業になるという長期的な目標を掲げている。

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下田屋 毅(CSRコンサルタント)

欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。執筆記事一覧

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