焼酎最大手・霧島酒造の「人づくり」と「電気づくり」

■ 社員に求めるのは「コラボ力」

霧島酒造企画室の若手社員たち。「焼酎とともに宮崎のおいしい食材を広めたい」と意気込む
霧島酒造企画室の若手社員たち。「焼酎とともに宮崎のおいしい食材を広めたい」と意気込む

江夏専務は、「若い人は吸収力がある。彼らを育てた方が技術や経験を伝承しやすい」と説明する。江夏専務が社員に求めるのは、「コラボ力」だ。

「『コラボ力』とは、単なる取り引きではなく、一緒にモノを考えていく力。これがあれば、個人や自社に能力やノウハウが不足していても、可能性を広げることができる」(江夏専務)

平均年齢が若い理由の一つが、この4、5年で事業規模が大きくなり、新卒採用が増えたことだ。現在、社員数は448人で、毎年20―30人ほどを採用している。離職率も低く、毎年20-30人が入社しても、その年で退社するのは1人程度だという。

江夏専務は、「従業員は味方。全従業員の物心両面の幸福を追求することが、企業の繁栄につながる」と力を込める。

■ 国内初の「サツマイモ発電」

霧島酒造は今年9月、国内初で、芋焼酎の製造過程で生じる芋くずや焼酎粕を資源とした「サツマイモ発電」を開始した。約1000世帯分の年間使用量に相当する、年間約400万kW時の発電を行う。電力は全て九州電力に売電し、年間で1億5000万円の売電収入を見込む。

バイオガスエンジン発電機。ほとんど音がしない
バイオガスエンジン発電機。ほとんど音がしない

焼酎粕とは、発酵した焼酎もろみを蒸留した後に残る残渣物。同社は業界に先駆けて、2003年から焼酎粕の廃液処理に取り組み、2006年には焼酎粕をバイオマス資源として利用するリサイクル事業を開始した。

2012年にはリサイクルプラントを増設。1日最大800トン発生する焼酎粕をメタン発酵でガス化し、焼酎製造工程の蒸気ボイラー熱源として活用してきた。

だが、焼酎製造で有効利用できるバイオガスは総発生量の44%に留まっていた。

そこで、2012年7月に「再生可能エネルギー固定価格買取制度」が開始したことを受け、余剰ガスを100%活用しようと、発電事業に本格参入することになった。

「太陽の光を浴びて育ったサツマイモには、エネルギーがあふれている。私たちはその貴重な資源を事業に利用させて頂いている。それをあますことなく有効活用し、循環する仕組みをつくるのが企業の使命だ」(江夏専務)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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