自然エネルギー100%、GoogleやFacebookとグリーンピースの意外な関係とは[佐藤 潤一]

佐藤 潤一
国際環境NGO グリーンピース・ジャパン 事務局長
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Google やFacebookなどの先進IT企業による自然エネルギー100%競争が過熱してきている。IT企業が所有する巨大なデータセンターを自然エネルギー100%でまかなおうという壮大な挑戦だ。実は、この競争が過熱した背景に、GoogleやFacebookなどの先進IT企業と、国際環境NGOグリーンピースの意外な関係があった。(国際環境NGOグリーンピース・ジャパン事務局長 佐藤潤一)

IT企業が消費している電力は膨大だ。ここを自然エネルギーに転換することで、自然エネルギーの需要拡大を狙う

IT企業が消費している電力は膨大だ。ここを自然エネルギーに転換することで、自然エネルギーの需要拡大を狙う

11月18日、Googleがオランダで6億ユーロ(900億円)の巨大データセンターを建設し、2016年に運用を開始すると発表した。このデータセンターの電力は、近くに建設中の19基の風車(合計62メガワット)から購入し、自然エネルギー100%で運用されるという。

Googleがそのデータセンターのために自然エネルギーの長期購入契約を結ぶのは、全世界で8件目だ。今年の4月にも米国アイオワで、407メガワットという発電能力の風力発電施設と大型契約を結んでいる。

Googleはすべての事業を100%自然エネルギーでまかなうことを目指し、すでに昨年の段階で35%を自然エネルギーでまかなった。

IT企業と環境保護というのは、あまり関係ないように思える。しかし、その関係は絶大だ。

オンラインでクラウドサービスを利用する際、ユーザーのデータはデータセンターと言われる巨大なコンピューター集合体でプロセスされ保存される。世界中でオンラインサービスを利用する人達が増え、このデータセンターの消費電力が莫大なものになった。2007年の統計では、世界の国々と比較しても第5位の消費量となるぐらいだ。

出典:MAKE IT Green Report 2010, Greenpeace 2010

出典:MAKE IT Green Report 2010, Greenpeace 2010

しかし、データセンターのほとんどが石炭火力発電をその電源として利用し、温室効果ガスの大量排出に荷担している。そこでグリーンピースはGoogle、Facebook、Amazonなどに自然エネルギー100%でデータセンターをまかなうように「強烈に」働きかけた。

例えば、2010年、グリーンピースはFacebookへのキャンペーンを開始した。その当時のビデオが以下のものだ。Facebookのデータセンターが石炭火力発電で運用されているため、気候変動に荷担していることを痛烈に皮肉った。このビデオはFacebook上でシェアされ、多くの「いいね」がついた。

https://www.youtube.com/embed/QPty-ZLbJt0

その後、グリーンピースのキャンペーンに応えたFacebookは、2011年2月にデータセンターの建設予定地を判断する基準として自然エネルギーの利用を加えることや、地元の電力会社や政府に対して自然エネルギーの供給拡大を働きかけることなどをグリーンピースと約束。

この約束を経て、Facebookはアイオワ州アルトゥーナで2015年から稼働させるデータセンターを、100%風力でまかなうことにした。しかも、このデータセンター建設による現地の自然エネルギー需要拡大によって、原発の新設計画が停止されている。

国内では、「自然エネルギーは不安定だから、安定性を求めるデータセンターや工場には利用できない」という化石時代のような声がいまだに聞こえてきそうだ。しかし、最先端のクリエイティブ企業は違った。グリーンピースの厳しい批判を、環境保護だけではなく、ビジネスチャンスに変えている。

企業がその企業活動に使用する電力をクリーンに変える責任を企業の「電源責任」と呼ぶ。実は、11月27日、日本大手自動車メーカーのホンダも、ブラジル国内において風力発電施設を建設し、同国内の自動車生産に使用する電気を自然エネルギーでまかなうと発表している。国際的には、企業が「電源責任」を負う時代がすでに来ている。

こういう企業が国内にも出てくることを切に願う。

詳しくは、グリーンピース・ジャパンのサイト、「インターネットをグリーンに! 自然エネルギーへのシフトを求めて」にて。

参考:
1) Google Green Blog http://googlegreenblog.blogspot.co.uk/
2) 原発新設中止に寄与した「フェイスブックの風力データセンター」 WIRED
3) 「ブラジル自動車業界で初の風力発電拠点が稼働を開始 ~四輪車生産に必要な年間電力量を再生可能エネルギーで創出~」(本田技研工業株式会社 プレスリリース2014年11月27日)

佐藤 潤一(さとう・じゅんいち):
国際環境NGO グリーンピース・ジャパン 事務局長
2001 年よりグリーンピース・ジャパンのスタッフとなり、ごみ問題・海洋問題などに取り組む。2008年に日本の調査捕鯨事業における不正を刑事告発、その後水産庁が不正を認め謝罪するが、証拠の入手方法をめぐって有罪判決を受ける。それ以降、NGOや市民による「不正を追及する権利」「知る権利」を実現する活動も続ける。企業に対しても積極的に環境保護を訴え、2013年にはユニクロと有害化学物質の使用全廃の合意を実現した。

佐藤 潤一
国際環境NGO グリーンピース・ジャパン 事務局長
2001 年よりグリーンピース・ジャパンのスタッフとなり、ごみ問題・海洋問題などに取り組む。2008年に日本の調査捕鯨事業における不正を刑事告発、その後水産庁が不正を認め謝罪するが、証拠の入手方法をめぐって有罪判決を受ける。それ以降、NGOや市民による「不正を追及する権利」「知る権利」を実現する活動も続ける。企業に対しても積極的に環境保護を訴え、2013年にはユニクロと有害化学物質の使用全廃の合意を実現した。

2014年12月5日(金)12:39

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