結果として、疲労感や無力感を感じてしまう結果にもなりかねないのです。特に後者については、団体関係者のモチベーションを維持するという意味でも、成果を明確に定めるというのは非常に重要なことなのです。
さらにいうと、目指す「到達地点」は社会から価値あるものとして評価されなければなりません。そして、その到達地点に対して、現在地点を伝えることで、初めてどれだけ頑張っているかということが伝わるのです。
例えば、ある人が登山をしたとします。200メートルほど登ったとした場合、それはどのくらいの価値を持つのでしょうか?そもそも何メートルの山に登ったのかが分からなければその価値を評価することは出来ないのです。標高599メートルの高尾山に対してであれば、「まずまず」の成果といえるでしょうが、標高3776メートルの富士山に対しては、「まだまだ」という成果になるはずです。
この成果を定義するために必要な作業が、自団体が活動を行う市場の規模を把握するということです。市場規模とは、製品の売上やサービスの利用見込み、社会課題の深刻度や対象範囲の広さなどを意味します。
可能なものは2次データ(白書や調査報告書など既に存在するデータ)を活用し、対象分野及び個々のセグメントの市場規模(人数や金額など)を把握しますが、必要に応じて1次データ(新たに調査やアンケートなどを実施して把握するデータ)が必要となります。
NPOが活動する分野や対象は、そもそも顕在化していない場合や、顕在化していても当事者意識を持ちにくいニッチなものが多いため、1次データの収集が必要となるケースが多くあります。
市場全体の規模を把握した上で、さらに、ミッションや自団体の経営リソース、強み・弱みなどを踏まえ、実際に活動を行うターゲット市場を設定します。市場全体とターゲット市場、そして現状自分たちがカバーできている市場という3つの層を常に意識しながら活動を行うということです。