2012 年8 月に実施されたインターネット・アンケート調査の分析結果により、東日本大震災後にとった行動が態度・主観的規範・有効性評価・入手可能性評価に正の影響を与え、らにそれらが意図に正の影響を与えることが証明されました。
そして本アンケート調査の被験者を、東日本大震災後の行動を基準にグループ分けしたところ、そのような行動を多く行ったクラスターは「高学歴で子どもがいる年配の既婚女性」、逆にほとんど行わなかったクラスターは「教育水準が比較的低く、若い独身男性」である傾向があり、クラスターごとに態度・主観的規範・有効性評価・入手可能性評価が意図に与える影響が異なることも明らかになりました。
中でも、環境配慮型商品の購買意図に態度が及ぼす影響が最も大きかったことが明らかになり、今後、態度形成プロセスを検討する必要があるとの示唆が得られました。また企業のマーケティング戦略上、環境配慮型商品の市場分析やセグメンテーションを行う際に、過去の行動が重要な意味を持つ、という実務的インプリケーションも得られました。
今回は環境配慮型商品を切り口とした調査の報告でしたが、大平氏らの研究チームはその後、寄付付き商品についてさらに調査・研究を進めています。7 月20 日に開催されるJFBS 東日本部会では、その研究成果についての報告が行われる予定です(本部会の詳細は「JFBS のイベント案内」http://j-fbs.jp/events.html 参照)。
【さいとう・のりこ】原子力分野の国際基準等策定機関、外資系教育機関などを経て、ソーシャル・ビジネスやCSR 活動の支援・普及啓発業務に従事したのち、現職。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、千葉商科大学専任講師。
(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第10号(2013年7月5日発行)から転載しました)