4年目の3・11、「エネルギー政策を地域に委ねよ」

■FIT見直しで事業者ら悲観的に

政府が1月に行ったFITの見直しは、電力会社が原発の優遇を前提としつつ、太陽光と風力に「接続可能量」を設けるものだ。発電量が接続可能量を上回る際、電力会社は接続事業者の発電出力を制限無くかつ補償もせずに抑制できる。

ISEPの飯田哲也所長は「接続可能量が事実上の上限となる」とみる。また、出力抑制される時間は無制限で、しかもそれによる事業者の損失は「何も補償されない。ゆえに事業者への金融機関の融資も期待できない」(飯田氏)。

自然エネルギー財団が太陽光発電事業者を対象に昨秋実施したアンケート調査では、事業者の8割が「今後、太陽光発電市場が縮小する」と回答。財団は「政策リスクで市場展望が見通せなくなっている」と指摘した。

また、ソーラーパネルメーカーなどでつくる太陽光発電協会(JEPA)も5日、「出力制御シミュレーション」を公表。九州電力、東北電力、中国電力について、ベースロード等電源容量と接続可能量を元に、年間の出力抑制率を試算している。太陽光発電事業者にとって、この総量規制と無制限・無補償の出力抑制は、事実上、新規投資の道を閉ざす危機的な経営リスクといえる。

自然エネルギー事業者のこうした懸念は解消されるのか。一部の弁護士は、FIT法の施行規則で導入された無制限・無補償の出力抑制を認める「指定電気事業者制度」は「FIT法の趣旨に反し、違法の疑いがある」と指摘している。

10日に経済産業省が示した試算では、水力を除いた2030年の自然エネルギー電力の目標比率は、約1割にとどまる。電力小売自由化で市民が自由に電気を選ぶためにも、また脱原発と気候変動に対応しうる野心的な導入目標を設定する上でも、この接続可能量(総量規制)と無制限・無補償の出力抑制の見直しと撤回が必要だ。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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