4月2日に世界で青い光が灯される理由―世界自閉症啓発デー[佐伯 比呂美]

30年以上前に遡ると、「自閉症」は「母親の育て方」が原因と一時的に伝わったことがある。その後の研究により、原因は「母親の育て方」などではなく生まれ持った脳の器質的・機能的な障がいによるものと分かり、アメリカなどでは対処法が開発されたり権利が守られたりするようになった。

ギザでの様子
ギザでの様子

オーティズムの子どもを連れてアメリカを旅行すると良く分かるのだが、レストランや空港など、どこに行ってもオーティズムに対しての配慮がある。またそのような配慮が良識ある社会の一員、一企業として当然の振る舞いであり、親であれば子どもに対してそれを伝える義務があると考えている。

それに対して日本では、最近まで「母親原因説」があちらこちらに残っていた。この30年間、日本の「自閉症」は光を当てられることなくひっそりと過ごし、結果的に、大きな遅れをとってしまったと推測する。

当事者家族は、公共の場で子どもがコントロールできない状態になると冷たい視線を投げかけられることもしばしばである。オーティズムの子どもを持つ家族が窮地に追い込まれるのは、障がいをもった子どもを育てる困難だけではなく、社会の理解が得られない孤立した感覚を持つ場面が多いことだ。

子どもが多くの時間を過ごす学校園では(特別支援教育が始まり7年以上が経つが)未だに困難を抱えている子どもたちに適切な対処がされず、頻繁に二次障害を起こしている。

二次障害は精神的な苦痛によりチック、暴言、自傷行為などが起こるが、その症状を「生まれつきの自閉症の特徴」と認識してしまう場合も多々あり、できうる予防や回避をせずに放置されてしまうことがほとんどである。認識不足が子どもたちの可能性の芽を摘み取り、後の社会参加にさまざまな支障をきたしていると言っても過言ではない。また、最近では「心の病」という認識を持つ人も多いのではないだろうか。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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