4月2日に世界で青い光が灯される理由―世界自閉症啓発デー[佐伯 比呂美]

昨年の障害者権利条約批准にむけてはさまざまな法整備が行われた。関係法令としては障害者虐待防止法、障害者基本法、学校教育法(特別支援教育)、発達障害者支援法、障害者総合支援法、児童福祉法、精神保健福祉法、障害者差別解消法、障害者雇用促進法、などがある。当事者家族である私がこれらの条文を読んでいると本当に希望がわいてくる内容だ。しかし前述のようにまだ日常で実感できる場面は少ないと感じる。現段階で日本社会に課せられているのは自閉症について「知る」ことなのだと思う。

オーティズムの人々は(個人によりさまざまではあるが)、「健常な人が見えているようには見えない」「健常な人が聴こえているようには聴こえない」など一般の人に比べ感覚器官に特異性がある。このような特性の理解が進むことが支援の第一歩であり、今後オーティズムの子どもや家族に生き生きとした暮らしをもたらす。

オーティズムは現時点では治療方法はないが、早期からの療育や適切な支援によって症状の重度化を避けることはできる。現在日本では各クラスに1〜2人、約30人に1人ともいわれる子どもたちが何らかの困難を抱えている。その子どもたちが大人になったとき、その代償を払うのは社会であることを私たちは忘れてはならない。

オーティズムの人々は社会の支援を必要としている。それは決して難しいことではなく、ふと立ち止まってオーティズムという障がいがもたらす困難に思いを巡らせ意識を変化させること、出会ったときには温かい目で見守ってもらうことで可能になる。社会の中のさまざまな分野で働く一人ひとりの意識の変化が大きな支援につながる。

日本でLIUBキャンペーンがその一助となり、誰もがオーティズムについての知識を持ち、支援の手を差し伸べられる社会になればと願っている。

■ライトイットアップブルーキャンペーンとは

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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