性的マイノリティの活動に、真っ当な評価と資金を[村木 真紀]

性的マイノリティの支援団体は日本各地にあるが、どこも財政的には非常に苦しい。ほとんどのスタッフが手弁当、無給の状況であり、平日に他の生業となる仕事をこなしながら休日や有給を駆使して活動している。

素晴らしい活動をしながらも、年間予算は数万円から数十万円という団体が多く、法人化できている団体は少ない。それは法人化のために必要な、代表者や理事の本名や住所の登録が、地域でカミングアウトしていない当事者には非常にハードルが高いためでもある。

私はこうした状況をなんとか変えたい。性的マイノリティをテーマにした社会活動が、重要な社会課題の解決のためのもの、公益に資するものだと広く認知されるようにしたい。活動の中身をしっかり評価された上で、他の社会活動と同列に、一般の助成金やアワードの対象になるようにしたい。社会的な評価が上がれば、専従で活動できるスタッフが増える。平日の昼間に動けるようになれば、行政や企業との協働もやりやすくなるはずだ。

虹色ダイバーシティの他には、ホームレス支援や3Dプリンタを使った義手の開発など10の団体が候補となっている
虹色ダイバーシティの他には、ホームレス支援や3Dプリンタを使った義手の開発など10の団体が候補となっている

私たちは現在、「Googleインパクトチャレンジ」という、5000万円の助成金のファイナリスト10団体の一つに選ばれている。

これは、画期的なことだ。性的マイノリティをテーマにした活動が、この規模の助成金を獲得できるチャンスは、過去にはなかったのではないかと思う。最終選考は26日、もちろん、他の団体も非常に興味深い活動をされているので、私たちが獲得できるかどうかは分からない。しかし、私たちはこの機会を、自分たちの団体や事業のアピールだけではなく、性的マイノリティに関する社会活動が真っ当な評価と資金を得られるようにするためのチャンスだとも思っている。是非とも、応援してほしい。

「Googleインパクトチャレンジ」
https://impactchallenge.withgoogle.com/japan
25日(水)23:59まで 一般投票期間(1端末から4票)
26日(木)13:00〜 最終選考会(YouTubeで配信予定)

muraki

村木 真紀 (認定NPO法人虹色ダイバーシティ代表理事)

認定NPO法人虹色ダイバーシティ代表(理事長)。社会保険労務士。茨城県生まれ、京都大学総合人間学部卒業。日系メーカー、外資系コンサルティング会社等を経て現職。当事者としての実感とコンサルタントとしての経験を活かして、LGBTに関する調査研究や社会教育を行う。著書「虹色チェンジメーカー」(小学館新書)執筆記事一覧

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