住民防護策、国の措置は「最小限」に後退? 原発事故対策指針の見直し案で

■ヨウ素剤「30キロ圏外は不要」?

一方、改定案では新たに「原発から著しく異常な水準で放射性物質が放出され、またはそのおそれがある場合」には、「必要に応じて予防的防護措置を実施した範囲以外であっても屋内退避を実施する」と明記。

また、原発から5キロ以遠の地域では、空間線量が20マイクロシーベルト時(μSv/h)以上を観測してから1日後に再度20μSv/h以上が観測された場合に避難を実施することが盛り込まれた。

つまり5キロ以遠の地域では、即時避難の基準である500μSv/h以上を観測しなければ、仮に高い線量であっても1日間は屋内退避のまま地域にとどまり続けることが想定される。また、プルーム通過時や屋内避難におけるヨウ素剤の服用について、案では示されていない。

高野課長補佐は「(改定案では)原発から30キロ圏外ではヨウ素剤の準備は規定しない」と説明。また、規制庁の松原匡専門官は「改定案は現行の指針から大きく後退していないか」との指摘に「ミニマム(最小限)の基準だ」と述べた。

改定案に対する国民からの意見募集(パブリックコメント)は今日3日で締め切られる。


原子力災害対策指針(改定原案)への意見募集

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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