社会における企業のあり方に関する国際的議論の動向【企業と社会の関係】

これまでヨーロッパを中心に学会活動を展開していましたが、この領域に対するグローバルな関心の高まりと取り組みの広がりを背景に、2011年よりその活動をヨーロッパに限定せず学会名称を現在のように改定し、グローバルネットワークを積極的に構築しています。最近数年間は、「持続可能性と金融」や「持続可能性、戦略的イノベーションおよびアントレプレナーシップ」が年次大会での統一テーマとされてきました。

2014年は12月10、11日に、「未来を変えるために:持続可能性を担うリーダーと持続可能な組織の育成」をテーマとして、ケンブリッジ大学で年次大会が開催される予定です。JFBSは、2011年の設立当初からこのABISと連携組織となっており、情報交換を行っています。

このほか、「CSR・持続可能性・倫理・ガバナンスに関する国際カンファレンス」が、8月14日から16日にロンドンで開催されます(http://gcg-csr.org/)。本カンファレンスに様々な分野の研究者と政治リーダーが集い、議論し、実務や教育の価値を高めていくとともに、カンファレンス成果をジャーナルなどによって発表していくことを目的としています。

最後に、先日終了しましたが、6月19日から22日、アメリカを中心とする「企業と社会国際学会」(1990年設立)が、シドニーで「企業の社会的課題を問い直す」というテーマで年次大会を開催しました(http://www.iabs.net/Home.aspx)。

■企業と社会をめぐる議論の活発化

このように、この領域の議論は大変活発化しています。興味深いことに、こうした議論の場では、すべて研究者と企業、政府、NGOなどの実務家がともに議論を行い、新たな理論、そして新たな価値観や経営手法を創出し、経営の実践に組み込んでいくことを目指している点が、共通の特徴として挙げられます。

このような流れにおいて、JFBS は本年9 月18、19日、第4回年次大会を開催します。研究者および実務家がとともに「持続可能性と戦略」について考える場となりますので、ご関心をお持ちの方々の参加申し込みをお待ちしております。
http://j-fbs.jp/annualconf_2014.html

(この記事は、株式会社オルタナが2014年7月7日に発行した「CSRmonthly 第22号」から転載しました)

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齊藤 紀子(企業と社会フォーラム事務局)

原子力分野の国際基準等策定機関、外資系教育機関などを経て、ソーシャル・ビジネスやCSR 活動の支援・普及啓発業務に従事したのち、現職。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、千葉商科大学人間社会学部准教授。

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