トリプル・ボトム・ラインを実践する世界のリーダー、ノボノルディスク――下田屋毅の欧州CSR最前線(44)

ノボノルディスクは、2010年に設立された国際統合報告評議会の2011年から開始されたパイロットプロジェクト(世界から約100社が参加)の一員として世界で最も先進的な統合報告書を発行し内外も認める中心的な役割を果たし牽引してきた。

このパイロットプロジェクトで他社との連携を行う利点として最も重要なことは、一緒に学び、痛みを共有することができるということだという。困難を克服し、よりスマートな方法をプロジェクトから学んでいる。様々な分野からの参加があるが課題の多くは同じで、取り組みが困難なことを共有することができるのは非常に貴重だという。

人権への取り組み
ノボノルディスクはTBLの一環として、長年人権にも取り組んでいる。1998年には、国際人権規約に基づいて人権影響評価を実施。以来「雇用の平等」「職場での安全衛生」「サプライチェーン」「医療へのアクセス」の4つの分野に焦点を置いてきた。現在は、2011年に発行された国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、改めて活動を仕切り直している。2011年にギャップ分析を実施、指導原則に合致していくよう、行動計画を作成し、人権方針を改正した。

また2014年には、世界中の従業員の人権を保障するための「グローバル労働ガイドライン」を人事部が中心となって作成した。2014年初めからは、包括的な人権影響評価・人権デューディリジェンスを実施している。本社から始め、2014年は縦割りで13部署をカバーした。2016年は世界各国支部で実施する予定だ。

「人権影響評価をTBL評価の一環として実施することを考えている。国ごとに異なる人権リスクに効率的に対処できるように、また支部もビジネス価値を持って利用できやすい形で実施できるかが課題になる。」と、コーポレート・サステナビリティ・チームの人権担当のブレッシング佳純氏は話す。

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下田屋 毅(CSRコンサルタント)

欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。執筆記事一覧

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