トリプル・ボトム・ラインを実践する世界のリーダー、ノボノルディスク――下田屋毅の欧州CSR最前線(44)

責任ある調達では、リスクをもとに優先順位の高い(リスクが高く、購入額が高く、依存している)サプライヤーを選出し、監査の他、研修も行っている。この監査には、環境、人権等の観点も含まれる。

現在は、それをビジネスと人権に関する指導原則に合致するように改善している最中である。ブレッシング氏は、指導原則の調達部門への導入を行い、調達部門が主導で展開していくという。このようにノボノルディスクには、コーポレート・サステナビリティ・チームが音頭をとり、それぞれの部門に落とし込んでいく歴史があるという。

企業倫理の遵守
また、ノボノルディスクは社会的責任の一環として、企業倫理の遵守を世界中で徹底している。支社を含む各組織の経営トップが常に重要性を強調し、全世界の全従業員は、毎年企業倫理の研修を受けることが義務づけられている。2014年は、この研修を必須とする従業員の98パーセントが企業倫理の試験を受けて完了した。

再生エネルギーへの転換
ノボノルディスクは、ビジネスの成長に伴い生産数量が増加するにあたり、少ない資源でより多く生産することが重要だと考え、2006年WWF(世界自然保護基金)との協定において、2014年までに2004年のレベルからCO2排出量を10%削減するという目標を掲げた。

事業の成長と環境負荷の関係を遮断 少ない資源でより多く生産する
事業の成長と環境負荷の関係を遮断 少ない資源でより多く生産する

世界の生産拠点におけるエネルギー消費構造を見直し、各所改善活動や自然エネルギーへの転換を通じて、廃棄物やCO2排出量を削減している。2009年にこの目標を前倒しで達成し、現在も維持している。

日本国内にある郡山工場(所在地:福島県郡山市)においても、継続的改善による削減活動に加え2014年には、電力消費によるCO2総排出量を自然エネルギー(バイオマス発電、風力発電)への転換により2005年比25%まで削減している。

このようにノボノルディスクは、統合報告書の先駆者、そしてTBLを実践する良い事例である。是非参考に取り組みを始めて欲しい。

shimotaya_takeshi

下田屋 毅(CSRコンサルタント)

欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。執筆記事一覧

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