編集長インタビュー: 鎌仲ひとみ氏(映画「ミツバチの羽音と地球の回転」監督)

■「GMA(グリーン・メディア・アライアンス)」とは

森: それに関連してかもしれないですが、実はグリーンメディアアライアンスというアライアンスをつくりました。

鎌仲: え、いつの間に?

森: ぜひ鎌仲さんにも入ってほしい。ベタですが、グリーンなメディアのアライアンスだからそのままグリーン・メディア・アライアンス。GreenTVの水野雅弘さんとか、greenzの鈴木奈央とか知ってますか?

鎌仲: もちろん知っていますよ。

森: 彼らと2年くらい前に作りました。とはいえ、まだあまり目立った活動をしてないんですけど、これからもっと連携していこうという話をしています。今度6月4日に夜飲むので、よかったら。

鎌仲: 4日に上映会なんです。4日5日と。

森: どこでやるんですか。

鎌仲:  6月4日、5日に四谷区民ホールです。チケットを扱ってもらおうと思って。

森: チケット預かっておきます。夜18: 00からか。じゃあ近くで飲んでて終わったら乱入しようかな。

鎌仲: 乱入してもいいですよ。

森: だからやっぱりメディアも連携しながら、先ほどまさに鎌仲さんがおっしゃったように、点を線にして線を面にするってすごく大事ですよね。

鎌仲: 自由に原子力のことを情報開示、というか情報をトランスペアレント、透明にして、たとえばその放射性廃棄物がどれくらい出て、それが六ヶ所に運ばれてどうなっているのかを出してほしい。原発がもっているネガティブな情報も出してほしい。CO2を出さないわけじゃなく、全体としては出しているし、そしてその100万年間貯蔵する放射性廃棄物を冷却貯蔵する分のCO2は全然計算に入れてないとかね。情報開示でも、すごいルール違反をしているわけですよ。

森: 向こうは巧妙で、発電時にCO2は発生しませんとだけ小さく書いている。

鎌仲: うん。そうなんだよね。でもみんなそういう風に聞かない。CO2を出さない発電方法なんだってプレゼンテーションされているから、みんなそういう風に思っている。

■日本人の環境意識は高いのか?

森: 原発は確かにその象徴なのですが、言葉を選ばずに言うと、日本人は環境問題に関心が高いかも知れないが、なかなか行動に移せない。関心があって、行動にも移せる人は1%くらいなのではと、オルタナという雑誌を3年間やってきて思うのです。

鎌仲: 私もそうじゃないかなと思う。でも、日本人は自然を西洋人とは違うとらえ方をしています。日本は、ほっといたら木とか草が茂るじゃないですか。世界には、そうではないところがいっぱいあって、自然をすごく大事にしなければ草木にさえ恵まれないところに比べると、日本は放っておいても自然があると思い込んでいる人たちがたくさんいる。もう一つ根本的な問題は、民主主義の問題です。ほとんどの日本人が会社に勤めていて、その会社のトップが環境意識が低いから、つまりその会社が環境なんか関係なく、自分たちの儲けを追求するグローバリゼーションという、もうちょっと古くなってしまいつつある価値観の中で、商売をしている。それにどぶっと漬かっているから、男たち、サラリーマンたちが家庭に帰っても家庭生活の中でのエネルギーとか環境とかそういうものに対して、アンテナがない状態になっている。

森: 自分で考えるってことが、なかなかないですよね。

鎌仲: 会社がやってるからって、思考停止を1日10時間ぐらいやっているわけでしょ。

森: 新聞記者もそうです。上司が記者に対して「お前はファクトを伝えろ、お前の意見は聞きたくない」という教え方をするわけですよ。そうすると、相手が言った事をちゃんと持って帰ってくるのがいい記者であるということになってしまう。

鎌仲: いやそういう人たちばっかりじゃないとは思うけれども。

森: いや往々にして、意外に多いですよね。

鎌仲: 日本は企業優先社会なので、日本企業の体質にメスを入れることができたら日本は変わる。

森: そうですね。

鎌仲: だけど私が一番手っ取り早く変えられると思うのは、地域でエネルギーの自立を果たしたい人たちがエネルギーをどんどん自分たちで作ることをやり始めた時に、一番早く変わると思っている。だからこの映画は地域の自立とか、地域が自分たちの生きる道を見出すための応援映画なのですよ。「こうすればいいんだ!」と。

森: すごくよく分かります。

editor

オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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