編集長インタビュー: 鎌仲ひとみ氏(映画「ミツバチの羽音と地球の回転」監督)

■今後の展開やいかに

森: これ三部作なのですよね。「ヒバクシャ世界の終わりに」、二つ目が「六ヶ所村ラプソディ」、三つ目が「ミツバチの羽音と地球の回転」ということですけど。 4つ目は考えてないんですか。

鎌仲: このテーマに関しては映画ではこれだけ。あと「ぶんぶん通信」を今三本出してるんですけど、ぶんぶんのNo.4が出てくるかもしれない。

森: 鎌仲さんは、これから次のまた新しいテーマがあるんですか。

鎌仲: ううん。それは内緒(笑)。とりあえず今、この映画を一人でも多くの人に観てもらいたい。

森: これはライフワークであろうし、そうしてもらいたいなという僕の希望もあるんですけど。その辺はいかがですか。

鎌仲: これがあと5年ぐらいは。

森: この映画をあと5年ぐらいは売り続けていきたいと。

鎌仲: というか、こっちの方向をね。自然エネルギーに特化したものをつくるかもしれないですよ。これはまだ原発が入っているけれども。自然エネルギーだけの。

森: それいいと思いますね。

鎌仲: もっと小さい作品で展開していくかもしれない。

■自主上映で地域を耕す

森: 今これだけブロードバンドが普及して、映像がパソコンで見れる機会がものすごく増えて、YOUTUBEもあればUstreamもある。つい5年位前と比べて、映像の持つ意味がものすごく高くなってきた。

鎌仲: その意味も高くなっているけども、映画館でクオリティの高い画質で映画的な映像を楽しむっていうことからはちょっと潮が引いてる。映像を何と捉えるかというと、情報を乗せた船と捉える。小さいインターフェースで見ている限りは、ニュアンスとか、ディティールとか、例えば2時間位の作品の大きな物語性とかメッセージとかっていうのとは、違った世界でしょう。

森: そうですね。映画はそれだけでもちゃんと収支を合わせていかなきゃいけないし、パソコンに入っちゃうことで、それはひょっとしたら逆風なのかもしれないけど。

鎌仲: それは共存していかなきゃいけないんですよ。

森: そうですね。いずれにしても映像がもつ力と、世の中の人々に浸透していく機会ということで言うと、僕はやっぱり5年前と比べても飛躍的にやっぱり機会は増えたと思うんですね。

鎌仲: 機会は増えましたよね。

森: それが収益性やビジネス性でいうと逆のこともあるのかもしれないけど、映像で人々の意識を変えるチャンスは増えたかもしれないと。

鎌仲: 3本作るのにちょうど10年かかったわけですよ。その間、私たちがやってきたのは自主上映を映画館のない場所とか地域で展開するっていうことだった。自分の家で自分の机でパーソナルにインターフェイスを見てるというのとは違って、地域の外に出て、地域の人達が主催する草の根の上映会に参加して、そこでリアルなネットワーキングをすることで、地域の中が耕されるっていうね、情報的にも人間のネットワーク的にも、耕されるっていうことを映画を上映しながら同時進行的にやってきたわけですよ。それは映画館に行って映画を観るだけではない、上映運動でもあるし。

森: そうですね。多分そういうのが「降りていく生き方」とかにも影響を与えてたりするんですよ。きっと。あそこも映画館ではなくて自主上映。

鎌仲: やはり人間は一人では社会を変えれない。自分一人が変わることもすごく大事だけど。地域の中のネットワーキングが醸成されて、育ってきて、こっちの地域とあっちの地域がまたネットワーキングするっていう、ネットワーキングを成長させていくというプロセスをこの3本で10年間かけてやってきました。

森: 頑張りましたよね。すごいね。

鎌仲: この新しい映画でもっとネットワーキングをエンパワーメントしたいし、今度企業の中にも入り込んでいきたいと思っているのですよ。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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