■「技術評価の第三者機関が必要」
原子力委員会は12年6月、「将来の政策変更に対応できるような備えを進めることが重要」だとして乾式貯蔵の拡大、直接処分も選択肢に含めるよう提言。鈴木氏はこうした経緯を踏まえ「全量再処分路線からの脱却が必要」だとした。さらに、日本が4大核保有国に次いで50トン近いプルトニウムを抱えている点についても「供給ありきからの転換」「在庫量の削減」などを提案した。
鈴木氏に続いて講演した「国際核分裂性物質パネル(IPFM)」のフランク・フォンヒッペル氏は「MOX燃料使用が遅れ、六ヶ所再処理工場が計画通り運転開始すれば、日本のプルトニウム量の爆発的増加は防げない」と指摘。解決策として使用済み核燃料の乾式貯留を挙げた。
講演後の質疑で自民党の河野太郎衆院議員は、核燃料サイクルをめぐる経産省の説明に関して「役所が出してくる資料をチェックするしくみが必要だ」と質した。鈴木氏は「原子力技術についての客観的評価が必要だが、日本にはそのような第三者機関がないのが現状」と回答。
また、別の議員が「行政機関はポジショントークを行い、(行政に)都合のいい専門家による都合のいい政策が採用されている」と指摘すると、鈴木氏は「(国民の意思を反映する形で)エネルギー政策の決定プロセスを変換しないといけない」と述べた。
核燃料サイクルの要である高速増殖炉もんじゅは今日に至るまでトラブルが相次ぎ、運転見通しが立たない。また六ヶ所再処理工場も操業遅延が重なり、建設費は当初の3倍近くに膨らむ。核燃料サイクルに現実的展望がないのは明らかだが、その検証や国民的議論抜きに原発再稼働を進めることは、3・11以前への回帰にしかならないだろう。