編集長コラム) NPOの声を聞き始めた日本企業--花王、ライザップ

ちなみに、ひょうご消費者ネットのこれまでの申し入れ・差し止め請求の対象は、生命保険協会、日本郵政公社、日本貸金業協会、関西電力、新聞各社(神戸新聞社、朝日新聞社、毎日新聞社、日本経済新聞社など)、日本放送協会(NHK)など、大物ぞろいだ。

適格消費者団体は別格としても、いま少しずつ、NPOなど非営利団体の声が企業に届きつつある。CSRを掲げる企業も、ステークホルダー・ダイアログを必須のプロセスとして、より多くのステークホルダーとの会話の作業を続けている。

今後は、ただ「対話すること」でよしとするのではなく、対話の中身、とくにステークホルダーからの要請や批判を真摯に受け入れ、改善すべきところは改善することが求められる。

「社会の声を聞くこと」こそ本来の「広義のコンプライアンス」であり、その範囲は「狭義のコンプライアンス」(法令遵守)を大きく上回る。それが本来のCSR(社会対応力=レスポンス・アビリティ)だ。

こうしたプロセスに真摯に取り組む企業の社会的評価は高まり、中長期的な企業価値の向上も期待できるだろう。(オルタナ編集長 森 摂)

森 摂(オルタナ編集長)

森 摂(オルタナ編集長)

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長 武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。

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